「電気回路」と「回路図記号」をゼロから読み解く|一周の道と4つの基本記号で、回路図が「読める図」に変わる

一周の道で読む 電気回路と記号

この記事で「回路図」が「読める図」に変わります

回路図を見ても、線がぐちゃぐちゃに見えるだけで、何がどうつながっているのか全然分からないんだよね。電子工作の本を買っても、最初の数ページで挫折しちゃう。

それ、初心者がいちばんつまずくところなんだ。実は回路図は「一周の道」というたった一つの考え方と、4つの基本記号さえ分かれば、ぐっと読みやすくなるよ。今日はそこをゼロから整理していこう。

こんにちは、ボーノです。「電気回路の教科書」シリーズの本編1回目、テーマは「電気回路」と「回路図記号」です。前回の導入回でシリーズ全体の地図をお見せしましたが、今回からいよいよ本編に入っていきます。

スマートフォンも家電も電車も、世の中の電気で動くものは、すべて電気回路の上に成り立っています。だからこそ、電気回路はこれから電気を学んでいくうえで、いちばん最初の土台になる考え方です。この記事を読み終わるころには、「電気回路とはどういうものか」、そして「回路図という図を、記号でどう読むのか」が分かるようになります。難しい数学は使いません。ゼロから始めて大丈夫です。

今日のゴール

今日のゴール

まずはこの記事の地図を共有しておきます。学ぶことは大きく3つです。

この記事で身につくこと
  1. 電気回路とは何か — 一周の道として読み解く考え方
  2. 回路図とは何か — つなぎ方を表す地図として読む
  3. 基本4記号 — 電源・抵抗・スイッチ・導線を見分ける

最後には3問の確認テストも用意しました。理解度を試してから読み返せるので、ぜひ手元にメモを取りながら読み進めてみてください。

電気回路とは — 一周の道

電気回路とは

まずは、「電気回路」とは何か、というところから始めましょう。

電気回路とは、電源から出た電気が、電球やモータといった部品を通って、また電源へと戻ってくる、ぐるりと一周した道のことです。この、電気を働かせるための部品のことを「負荷」と呼びます。

イメージとしては、陸上のトラックを思い浮かべてみてください。スタート地点を出て、ぐるっと回って同じ場所に戻ってくる、一本道です。電源を出発した電気が、負荷という道のりを通って、電源に帰ってくる。この一周の輪っかが、電気回路の正体です。

押さえるべき1点
電気回路は、電源から負荷を通って電源へ戻る「一周の道」

まずはこの一点だけ押さえておくと、この先の理解がぐっとしやすくなります。

つながっていないと、電気は流れない

つながっていないと流れない

次に、とても大切な性質をお伝えします。それは、「一周の道がつながっていないと、電気は流れない」ということです。

たとえば、スイッチを思い浮かべてください。スイッチを入れると、道がつながって一周の輪っかが完成し、電気が流れて電球が光ります。一方で、スイッチを切ると、道の途中が切れてしまい、輪っかが完成しないので、電気は流れず電球も消えます。

ここで、初心者の方が勘違いしやすいポイントがあります。

よくある誤解
「電源につなぎさえすれば電気は流れる」と思ってしまいがちですが、そうではありません。電源につないでも、道がぐるりと一周つながっていなければ、電気は流れないのです。

つながって初めて流れる。この感覚を、ぜひ持っておいてください。

電気のもとは消えない — 減るのはエネルギー

電気のもとは消えない

続いて、もう一つ勘違いしやすいところを整理しておきます。

「電気は、電球やモータを通ると、使われて減っていく」と思っていないでしょうか。じつは、流れている電荷そのものは、一周のあいだで減ったり消えたりはしません。電源から出た分だけ、ちゃんと電源に戻ってきます。

では、何が使われているのか。それは「エネルギー」です。たとえるなら、水車を思い浮かべてください。川の水が水車を回しても、水の量そのものは減りませんよね。減るのは、水の持っていた勢い、つまりエネルギーのほうです。電気回路もこれと同じで、電荷は巡り続け、負荷のところでエネルギーだけが光や動きや熱に姿を変えて使われていきます。

区別しておきたいこと
巡り続けるのは電荷で、負荷で使われるのはエネルギー。日常では両方をまとめて「電気」と呼びがちなので、ここでは意識的に分けて考えてみてください。

ここは、はっきり区別しておきましょう。あとで出てくる確認テストでも狙われるポイントです。

回路図は「つなぎ方の地図」

回路図は『つなぎ方の地図』

ここからは、回路を紙の上に表す方法を見ていきます。それが「回路図」です。

回路図とは、電源や電球といった部品を、決められた記号で表した図のことです。この、部品を表すための記号を「回路図記号」と呼びます。

ここで大事なのは、回路図は実物の写真ではない、ということです。部品が実際にどこに置いてあるか、配線が長いか短いか曲がっているか、そういったことは関係ありません。回路図が表しているのは、「どことどこがつながっているか」、そのつなぎ方だけです。

身近な例でいうと、駅の路線図に似ています。路線図は、実際の線路の距離や曲がり具合は正確ではありませんよね。でも、「どの駅とどの駅がつながっているか」はひと目で分かります。回路図も同じで、つながり方を読み取るための地図なんです。

線をたどる — 「ひと続き」の見分け方

線をたどる:つながった線は「ひと続き」

記号の話に入る前に、初心者の方がいちばんつまずきやすい「線のたどり方」を、先にお伝えします。ここがクリアになると、回路図がぐっと「読める図」に変わります。

覚えるルールは、3つだけです。

線をたどる3つのルール
  1. 導線でつながった線は、電気的にひと続き — どんなに長くても曲がっていても同じ一か所
  2. 部品をまたぐと、別のかたまり — 抵抗や電池の前と後ろはもう別物
  3. 交差は黒丸の有無で見分ける — 黒丸ありなら接続、なしならただ交差しているだけ

一つずつ、もう少しだけ補足します。

1つ目「ひと続き」。導線一本でつながっている部分は、紙の上でどんなに離れて見えても、電気のうえでは「ひと続きのかたまり」として扱います。線が折れ曲がっているのは、図を見やすくするためで、本当は一本の道を紙に収まるよう曲げただけです。

2つ目「部品をまたぐと別」。途中に抵抗や電池といった「部品」が挟まっていたら、その前と後ろは、もうひと続きではありません。導線だけでつながっているところが、ひと続きです。

3つ目「交差は黒丸で見分ける」。線と線が十字に交わっていても、つながっているとは限りません。交わったところに黒い丸(接続点)があればつながり、なければただ交差しているだけ、と読みます。

この3つで、回路図を指でたどれるようになります。

黒丸ありとなし、見落としそうで怖いなあ…。

最初はそうだよね。慣れるまでは、交差してる場所を見つけたら、必ず黒丸があるかどうかを指でなぞってチェックする習慣をつけると安心。読み間違いはここでかなり防げるよ。

基本4記号 — 電源・抵抗・スイッチ・導線

基本の記号を見分ける

それでは、いちばん基本となる記号を4つ、見分けられるようになりましょう。これが分かれば、簡単な回路図は一周の道として読み解けるようになります。

記号 役割 覚え方
電源 回路に電気エネルギーを与えるもと (電池など) 長い線が+、短い線が-。記号に向きあり
抵抗器 電流を流れにくくする部品 (「抵抗」とも呼ぶ) 長方形で描かれる
スイッチ 道をつないだり切ったりする部品 線の一部が持ち上がる形。開けば切れ、閉じればつながる
導線 部品どうしをつなぐただの線 シンプルにまっすぐな線

表で「抵抗器」と書きましたが、現場では部品の名前としても「抵抗」と呼ばれることが多いです。本来「抵抗」は電流の流れにくさ (物理量) を指す言葉ですが、それを生む部品のことも合わせて「抵抗」と呼ぶ習慣になっています。少しややこしいので、最初は「抵抗 = 部品の通称、抵抗器 = 正式な部品名」と覚えておくと混乱しません。

スイッチの「開けば切れ、閉じればつながる」というルールは、前のセクションでお話しした「つながって初めて流れる」と対応しています。スイッチ記号は、その対応がそのまま図に書かれているわけです。

この4つが読めれば、簡単な回路図なら「電源を出て、抵抗を通って、スイッチを抜けて、電源に戻る」というふうに、一周の道として読み解けるようになります。最初は全部を覚えようとしなくて大丈夫です。まずはこの4つから、と思っておいてください。

豆知識 — 抵抗の記号は「規格」で違う

抵抗の記号は「規格」で違う

ここで一つ、現場の豆知識をお伝えします。

じつは、抵抗の記号には、二つの描き方があります。今見てきた「長方形」は、新JISおよび国際規格のIECで採用されている書き方です。一方で、昔の規格では、「ギザギザの線」で抵抗を表していました。このギザギザは、電気の流れをジグザグに邪魔する、抵抗の働きそのものを形にしたものだと言われています。

抵抗の2つの描き方
  1. 長方形 — 新JIS / IEC (国際規格) で用いられる書き方
  2. ギザギザ — 旧JIS / 米国ANSIで用いられる書き方。日本の現場でも今なお現役。アメリカでは主流

面白いのは、古いギザギザの記号が、日本の現場でも今なお普通に使われているということです。社内規格や教育現場、学校では「こちらに揃えてください」と指定されることもありますが、汎用の図面では長年の慣れもあって、ギザギザで描かれたものが今でもたくさん残っています。アメリカでは、このギザギザが今も主流です。

ですから、「新JIS / IECでは長方形、旧JIS / ANSIではギザギザ。現場ではどちらも当たり前に出てくる」と知っておくと安心です。所属している学校や会社、参考にしている資料のルールに合わせて使い分けてください。どちらを見ても同じ抵抗だと分かるように、両方の形を頭に入れておきましょう。

確認テスト — 引っかかりやすい3問

確認テスト(3問)

ここで、理解度を確かめる確認テストを用意しました。本当に分かっていないと引っかかる3問です。少し考えてから次のセクション (解答) に進んでみてください。

確認テスト3問
  1. 第1問: 電源・スイッチ・豆電球を一周つないだ回路で、豆電球を通った「後」の電流は、通る「前」と比べてどうなっているでしょう。①使われて減っている / ②変わらない / ③電球の手前でゼロになる
  2. 第2問: 同じ部品 (電源・抵抗・スイッチ・導線) を、同じつなぎ方で結んだ回路を、形だけ変えて2つ描きました。たとえば、片方は四角形のレイアウト、もう片方は丸い形に組み直したものです。この2つは「同じ回路」と言えるでしょうか。マルかバツか
  3. 第3問: 二本の導線が十字に交差している図を、2パターン描きました。Aは交差点に黒丸あり、Bは黒丸なしです。電気的に「つながっている」のは、①Aの黒丸ありか、②Bの黒丸なしか、③どちらもか

それぞれ、答えは決まりましたか。次のセクションで答え合わせをしていきます。

確認テスト:解答

確認テスト:解答

それでは、答え合わせです。

答え 解説
第1問 ② 変わらない 減るのはエネルギーのほう。今回のような分岐のない一周だけの回路では、流れる電流の大きさは、一周のどこで測っても同じです。電球の前と後ろで電流は変わりません
第2問 マル (同じ回路) 回路図は形や位置ではなく「つなぎ方」だけを表す地図。見た目の形がちがっても、つなぎ方が同じなら同じ回路です
第3問 ① A (黒丸ありのほう) 線がただ交差しているだけでは、別の線。黒丸という接続点があって、初めて電気的につながります

何問できましたか?間違えたところは、関連する章をもう一度読み返してみてください。第1問は「電気のもとは消えない」、第2問は「回路図はつなぎ方の地図」、第3問は「線をたどる3つのルール」のところです。

第1問、わたしも「減る」と思ってた…!

いちばん引っかかる人が多いところだね。でも「電荷」と「エネルギー」を分けて考える感覚は、この先の電気の学習で長く効いてくるよ。今ここで一回しっかり腑に落としておけると、後で楽になる。

このセクションのまとめ

このセクションのまとめ

今回は、「電気回路」と「回路図記号」について、ゼロから順番に整理してきました。今日の話を一本の筋でつなげると、こうなります。

今日の話を一本にまとめると
  1. 電気回路は、電源から出て一周して戻る「ひとつながりの道」
  2. だからこそ、一周がどこかで切れていると、電気は流れない
  3. 流れている電荷は減らず、負荷で使われているのはエネルギー
  4. 回路図は、その回路を紙の上に表した「つなぎ方の地図」
  5. 電源・抵抗・スイッチ・導線の4つの記号さえ読めれば、回路図を一周の道としてたどれる

こうして見ると、今日の話は「電気は一周の道を巡る」という一本の筋でつながっていますね。ここが、これから電気を学んでいくうえで、ずっと土台になっていきます。頭の片隅に置いておいてください。

まとめ — 次回予告

もし途中の確認テストでつまずいたところがあれば、関連する章をもう一度読み返してみてください。電気回路の考え方は、この先のオームの法則、交流、過渡現象まで、すべての回の土台になります。

動画版も用意しているので、文字より流れで一気に学びたい方は動画もどうぞ。次回は、回路を構成する材料の話、「導体・絶縁体と抵抗器」に進みます。電気を通す材料と通さない材料、その間にある「抵抗器」という部品が、なぜ電気の流れにくさを生むのか、というところから始まる回です。

「シリーズ通読したい」って方は、前回の導入回「シリーズ全体像」もあわせて読んでみてね。それじゃ、また次回お会いしましょう。