電気を通す物・通さない物の「ちがい」を、自由電子で読み解きます


こんにちは、ボーノです。「電気回路の教科書」シリーズのEpisode 2、今回のテーマは「導体・絶縁体」と「抵抗器」です。前回は電気回路という一周の道と、それを記号で表す回路図を見てきました。今回はその一歩先、回路を作っている「材料」と「部品」の中身に入っていきます。
電気をよく通すものと通さないものは、何がちがうのか。そして、回路でとてもよく使う抵抗器という部品は、いったい何のためにあるのか。ここが分かると、回路の仕組みが「材料の性質」のレベルから地続きで見えてきます。難しい数学は出てきません。前回を読んでいなくても大丈夫です。
今日のゴール

この記事で身につくことは大きく3つです。
- 導体と絶縁体のちがい — 「自由電子の数」で決まるという見方
- 「抵抗」という言葉の意味 — 物質の流れにくさそのもの
- 抵抗器の役割 — 電流の量を調整して、LEDなどを守る
最後には3問の確認テスト、おまけで カラーコード (色の帯で抵抗値を読む現場の暗号) の話も用意しました。
電気を通す物・通さない物 — 導体と絶縁体

まずは、身のまわりにある「電気を通す物」と「通さない物」を整理します。
- 導体 — 電気をよく通す物質。銅、アルミ、鉄など、金属の多くがこれ
- 絶縁体 — 電気をほとんど通さない物質。ゴム、ガラス、プラスチックなど
では、なぜこんなにちがいが出るのでしょうか。カギになるのは、物質の中を自由に動き回れる電子、「自由電子」の数です。
イメージとしては、広場を走り回れる人を思い浮かべてみてください。金属の中には、この自由に動ける電子がたくさんいて、広場を大勢が走り回っているような状態です。だから、押されればスイスイ伝わる。これが導体です。反対にゴムの中では、電子が原子にがっちりつかまっていて、ぎゅうぎゅう詰めで動けません。だから電気が伝わらない。これが絶縁体です。
そして、この導体と絶縁体、電気の通しにくさを比べると、その差はとてつもなく大きく、20けたを超えるとも言われています。「ちょっと違う」どころではなく、まるで別世界です。
身近な例が電源コードです。中を通っている銅の線が導体、それを包んでいるゴムやビニルの被覆が絶縁体。電気は銅線の中だけを通り、まわりの被覆が電気を外に漏らさない。導体と絶縁体が、ひとつのコードの中で役割を分担しているわけです。
中間の材料もある — 「半導体」の予告だけ

ここで、一つだけ名前を予告しておきたいものがあります。
いまは「電気をよく通す導体」と「ほとんど通さない絶縁体」という、両極端の話をしてきました。じつは、そのだいたい中間くらいの通しやすさを持つ材料もあります。それが「半導体」です。スマートフォンやパソコンの頭脳は、この半導体からできています。
半導体がなぜそんなに重要なのか、その正体は何なのか、という話は、シリーズの後半、第2部「電子回路」でたっぷり扱います。今日のところは、「導体と絶縁体のあいだに、半導体という中間の材料もある」という名前だけ、頭の片隅に置いておいてください。
「抵抗」とは、電気の流れにくさのこと

次に、「抵抗」という言葉を押さえましょう。
抵抗とは、ひとことで言えば「電気の流れにくさ」のことです。流れにくいほど、抵抗は大きい。流れやすいほど、抵抗は小さい、という関係です。
イメージとしては、水を流すホースを思い浮かべてください。太いホースなら水がたくさん流れますが、細いホースだと水は流れにくくなりますよね。この「流れにくさ」が、電気でいうところの抵抗にあたります。
つまり、「通す/通さない」という0か1の話ではなく、「どのくらい通すか」というグラデーションとして物質を見るのが、より実態に近い理解です。導体と絶縁体は、そのグラデーションの両端にいるわけです。
抵抗器 — 電流の量を調整する部品

続いて、いよいよ今日の主役、抵抗器です。
抵抗器とは、いまお話しした「流れにくさ」を、わざと一つの部品にまとめたものです。役割は、回路に流れる電流の量を、ちょうどいい大きさに制限したり調整したりすること。
たとえるなら、水道の蛇口です。蛇口をひねる具合で水の量を加減するように、抵抗器は電流の量を加減して、流れすぎないようにしてくれます。
分かりやすい例 — LEDを守るための抵抗器
なぜそんな部品が必要なのか。電子工作でいちばん分かりやすい例が、LED (発光ダイオード) です。
LEDは、ある電圧を超えると電流が急に増えやすい性質を持っています (このあたりの詳しい仕組みは、後の第2部「電子回路」で扱います)。そのため、LEDを電源に直接つないでしまうと、電流が一気に流れすぎて、一瞬で壊れてしまいます。
そこで、LEDと直列に抵抗器を一つ入れてあげます。すると抵抗器が電流の量を抑えてくれるので、LEDには安全な大きさの電流だけが流れ、壊さずにちゃんと光ってくれます。


現場の豆知識 — 抵抗のカラーコード

ここで、現場の豆知識を一つご紹介します。
実際の抵抗器を見ると、とても小さくて、表面に抵抗値の数字を印刷するスペースがありません。そこで考え出されたのが、色の帯で値を表す「カラーコード」です。世界共通の規格として決められています。
よくある4本の帯のタイプでは、各帯の役割が決まっています。
- 1本目 — 1桁目の数字
- 2本目 — 2桁目の数字
- 3本目 — ゼロをいくつ付けるか (10の何乗倍か)
- 4本目 — 誤差の大きさ (例: 金=±5%、銀=±10%)
色と数字の対応も決まっていて、黒=0、茶=1、赤=2、橙=3、黄=4、緑=5、青=6、紫=7、灰=8、白=9 です。慣れてくると、たとえば「茶・黒・赤・金」という並びを見ただけで、「ああ、1・0で10、ゼロ2個付けて1000、誤差±5%、つまり1kΩ ±5%だな」と読み取れるようになります。
つまりカラーコードは、部品を裏返したり機械で測ったりしなくても、色を見るだけで値が分かる、現場の暗号のようなものです。電子工作を始めると必ず出会うので、「抵抗の色には意味がある」と覚えておくと、必ず役に立ちます。
確認テスト — 3問

ここで、理解度を確かめる確認テストです。本当に分かっていないと引っかかる3問。少し考えてみてください。
- 第1問: 金属が電気をよく通すのは、なぜでしょう。①硬いから / ②中を自由に動ける電子が多いから / ③金属だから
- 第2問: ゴムなどの絶縁体は、電気をまったく通さない。流れは完全にゼロである。これは、マルかバツか
- 第3問: 抵抗器の帯が「赤・紫・橙・金」と並んでいます。この抵抗の値はいくつでしょう (誤差は±5%)。①27kΩ / ②22kΩ / ③47kΩ / ④2.7kΩ
それぞれ、答えは決まりましたか。次のセクションで答え合わせをしていきます。
確認テスト:解答
クリックして解答を表示

それでは、答え合わせです。
| 問 | 答え | 解説 |
|---|---|---|
| 第1問 | ② 自由に動ける電子が多いから | 電気を通すかどうかは「硬さ」や「金属かどうか」ではなく、自由に動ける電子の多さで決まります。金属の中に自由電子がたくさんいるから、結果としてよく通す、という順番です |
| 第2問 | バツ | 絶縁体も、完全にゼロではありません。けた外れに通しにくいだけで、わずかには流れます。「通す/通さない」ではなくグラデーションでとらえる、というのが今日のキモでした |
| 第3問 | ① 27kΩ ±5% | 赤=2、紫=7、合わせて「27」。3本目の橙は「0を3個つける」、つまり1000倍。だから27 × 1000 = 27,000Ω = 27kΩ。金は誤差±5% |
第3問で読み違えやすいパターン:
- 2番の22kΩ — 紫を赤と読み違えたとき
- 3番の47kΩ — 最初の赤を黄と読み違えたとき
- 4番の2.7kΩ — 橙を赤 (×100) と読み違えたとき
色を1色ずつ正確に読むのがポイントです。何問できましたか?間違えた問題の答えは、関連する章をもう一度読み返してみてください。
このセクションのまとめ

今回の話を一本の筋でまとめると、こうなります。
- 電気を通すか通さないかは、自由電子の数で決まる
- 自由電子が多い金属が 導体、乏しいゴムやガラスが 絶縁体。その差はけた違い
- その「電気の流れにくさ」そのものを 抵抗 と呼ぶ
- 抵抗を部品にしたのが 抵抗器。電流の量を意図的に決めて、LEDなどを守る
- 抵抗値は、本体の カラーコード から読み取れる
こうして見ると、今日の話は「電気の通しやすさは自由電子の数で決まり、その流れにくさを部品にしたのが抵抗器だ」という一本の筋でつながっています。材料の性質から部品の働きまでが地続きだ、という感覚を、頭の片隅に置いておいてください。
まとめ — 次回予告
今回は導体・絶縁体・抵抗器を、自由電子という1つのキーワードでまとめて整理しました。次回は、回路を読むうえで欠かせないもう一つの基本、「開放と短絡 (オープンとショート) の見方」に進みます。回路図の中で「ここが切れている」「ここが直結している」を見抜けるようになる回です。

今日から始める電子工作 

