「電圧」と「グラウンド(GND)」をゼロから理解する|2点間の差・電位の基準・なぜ0Vが必要なのか

電圧は2点間の差 GND=0Vの基準

「電圧」と「電流」の違い、自信を持って答えられますか?

電圧と電流って…正直、いつもごっちゃになるんだよね。両方とも電気の単位だし、「ボルト」と「アンペア」って言われても、何がどう違うのかいまいち。あと「GND (グラウンド)」っていうのもよく聞くけど、なんで0Vって決まってるの?

めっちゃ普通の悩み。じつは電圧と電流って、「両端にかかる」のと「通って流れる」っていうたった一言で区別できるんだ。あとGNDは「0Vって自分で決めた点」のこと。今日はそこをゼロから整理するよ。

こんにちは、ボーノです。「電気回路の教科書」シリーズのEpisode 5、今回のテーマは「電圧」と「グラウンド(GND)」です。前回までで、部品を通って流れる電気の量「電流」について見てきました。今回はそれと並ぶもう一つの大事な量、電圧に入っていきます。

電圧とは何なのか、よく似ているのに実はまったく別物の電流と、どう違うのか。さらに、各点の電位を数字で読むときに必要になる「基準の点」 — 回路図でよく見かけるグラウンド(GND) という記号の意味まで、まとめて掴んでいきます。

この記事のねらい

このチャプターのねらい

この記事で身につくこと
  1. 電圧とは何か — 2点間の「差」で、電気を押し出す力のイメージ
  2. 電流と電圧の違い — 「通って流れる」のと「両端にかかる」のと
  3. 「基準」がなぜ必要か — 1点の電位は基準なしには言えない
  4. グラウンド(GND)とは — 回路の中で0Vに選んだ基準点
  5. 基準を選び直すと何が変わるか — 数字は変わるが、差は変わらない

最後には3問の確認テスト、おまけで「回路のGNDと家電のアース」の区別も用意しました。

電圧とは — 2点間の差

電圧とは(2点間の差)

まずは、「電圧とは何か」から始めましょう。

電圧とは、ひとことで言うと、回路の中の「2つの点の間の電位の差のことです。よく「電気を押し出す力」というイメージで説明され、この差が大きいほど、電気を勢いよく送り出そうとする、と考えてください。物理的に言うと、電圧は電荷1個あたりに渡せるエネルギーの量に対応しています (Episode 1で見た「電荷」と「エネルギー」が、ここで再会するわけです)。

大事な注意
「押し出す力」はあくまでイメージで、物を動かす本当の「力(ニュートン)」とは別ものです。直感を助けるための言い方、と頭の隅に置いておいてください。

そして、電圧でいちばん大事なのは、「1つの点だけ」では決まらないということです。かならず2つの点を選んで、その「差」として測ります。

高さの差で考える

たとえるなら、高さの話とそっくりです。建物の2階と1階を考えたとき、「2階の床から1階の床まで、どれだけ高さの差があるか」というのが電圧にあたります。

高さの話 電気の話
ある場所の高さ 電位 (各点の電気的な高さ)
2つの場所の高さの差 電圧 (2点間の電位差)
差が大きいとボールが勢いよく転がる 差が大きいと電気を勢いよく押し出す

電圧の単位は ボルト(V) です。たとえば、日本の家庭用コンセントはおよそ100V、乾電池は1.5V、というように使われますね (コンセントは交流ですが、交流の詳しい話は別の回で扱います)。

電流と電圧の決定的な違い

電流と電圧の決定的な違い

ここがこのチャプターの山場です。「電流」と「電圧」の違いを、はっきりさせておきましょう。名前も似ていて、初心者がいちばん混同しやすいところです。

電流 電圧
イメージ 部品を「通って流れる」電荷の量 (1秒あたり) 部品の「両端にかかる」電位の差
単位 アンペア(A) ボルト(V)
水で例えると 管の中を実際に流れる水の量 2つの水面の高さの差(水位差)

水で考えると分かりやすいです。電流は、管の中を実際に流れていく水の量。これに対して電圧は、2つの場所の水面の高さの差です。水位の差があるからこそ水が流れる、という関係で、「流れる水の量」と「高さの差」は、まったく別の量ですよね。

合言葉
「かかる」のが電圧「流れる」のが電流。このひとことで覚えておくと、この先ずっと混同しなくなります。

基準がないと電位は決まらない

基準がないと電位は決まらない

続いては、「基準」という考え方です。

いまお話ししたように、電圧は2つの点の「差」でした。だから、2点を選びさえすれば、基準を決めなくても「この2点の差は何ボルト」と言うことができます

ところが、「この1つの点は何ボルトですか」と、点ひとつの値を言おうとすると、とたんに困ってしまいます。なぜなら、それも結局「どこかと比べた差」でしか言えないからです。比べる相手 — つまり基準 — を決めないと、1つの点の値は決まらないんですね。この1点の値(基準から測った電気的な高さ) が、さきほどお話しした電位です。

山の高さで考える

これも高さの話とそっくりです。「AさんとBさんの身長差は何センチ」というのは、基準がなくても言えます。でも「この山の高さは何メートル」と言うときは、どこを高さゼロとするかを決めないと言えませんよね。

日本では、海の平均的な水面、つまり「海抜0メートル」を基準にしています。たとえば富士山の3776メートルというのも、この海抜0メートルから測った差なんです。電位もこれと同じで、1点の値を言うには「ここを0Vにする」という基準が必要になります。

グラウンド(GND) = 0Vの基準点

グラウンド(GND)=0Vの基準点

そこで登場するのが、今回のもう一人の主役、グラウンドです。

回路の中で「ここを0Vの基準にしよう」と決めた点のことを、グラウンドと呼びます。英語のGroundを略して「GND (ジー・エヌ・ディー)」と書いたり、「グランド」と呼んだりもします。回路図では、この点に専用のグラウンド記号をつけて、「ここが基準ですよ」と示します。

さっきの高さの話でいえば、グラウンドは「回路の中に決めた、海抜0mの基準面」のようなものです。どこか1点に「ここが0Vだ」という旗を立ててあげる。そうすると、ほかのすべての点の電位を、その旗からの高さとして読めるようになります。

大事な事実
グラウンドは「設計する人が選んで決める」もの。0Vの基準は、回路ごとに人が決める約束ごとです。多くの回路では、電池のマイナス側など、都合のいい1点を選んで、そこをグラウンド(=0V)にしています。

基準を決めて各点の電位を読む

基準を決めて各点の電位を読む

それでは、実際に基準を決めて、各点の電位を読んでみましょう。1.5Vの乾電池を例にします。

基準1: マイナス側を0Vにする(一般的)

マイナス側の点をグラウンド(=0V)と決めると、プラス側の点は、そこから1.5V高いので、+1.5V と読めます。これで2つの点の電位が、数字ではっきり言えるようになりました。

基準2: プラス側を0Vにする(あえて逆に)

ここで基準を変えてみます。さっきとは逆に、プラス側の点を0Vと決めてみましょう。すると今度は、マイナス側の点は、そこから1.5V低いので、−1.5V になります。

基準の選び方 プラス側の電位 マイナス側の電位 両端の差(電圧)
マイナス側=0V +1.5V 0V 1.5V
プラス側=0V 0V −1.5V 1.5V

ここで、おもしろいことが起きています。基準をどちらに選んだかで、各点の「数字」は変わりました。ところが、電池の両端の「差」はどうでしょう。どちらの場合も、きっちり1.5Vのままで、変わっていませんよね。

今回いちばんの勘どころ
配線はそのままで、どこを0Vと呼ぶかという基準だけを選び直したとき:

  • 変わるのは: 各点の電位の「数字」(相対的なもの)
  • 変わらないのは: 2点間の差(=電圧そのもの)

電位は基準しだいで変わる相対的なもの、電位の差は基準によらず決まるもの、と捉えておいてください。

なるほど、ボルトの数字って、基準次第で変わっちゃうんだね。じゃあ「コンセントの電圧100V」とかも、誰かが基準を決めてるの?

いい質問。「100V」は「2つの差し込み口の間の差」のことなので、基準を選ばずに言える値なんだ。「差」だから基準なしで言える、というのが今日のキモだね。

現場の豆知識 — 回路のGNDと、家電のアースは別物

現場の豆知識

ここで、現場の豆知識をひとつ。

回路図に出てくるグラウンド(=0Vの基準)は、あくまで「ここを基準にします」という目印にすぎません。じつはこれ、地面につなぐ「アース」(日本語で「接地」) とは、別のものなんです。記号も区別して使い分けられています。

重要な区別
  • グラウンド(GND) — 回路の中で「0V」と決めた基準点。本当の地面につながっているとは限らない
  • アース(接地) — 機器の金属部分を、決められた方法で本当の大地につなぐ 安全のための仕組み

ですから、「触れられる金属部分が安全かどうか」は、グラウンドという名前ではなく、「本当に大地とつながっているか」と「保護のしくみが働くか」で判断するものなんです。

たとえば、地面につながれていない機器の金属フレームを考えてみてください。回路の中ではそこが基準でも、本当の地面と同じ電位とは限りません。もし故障などでそのフレームが危険な電位になっていて、自分の体がフレームと地面をつなぐ通り道になってしまうと、体に電気が流れて、感電のおそれがあります。

こうした感電のリスクを下げるために、機器の金属部分を決められた方法で大地につなぐ「接地(アース)」という対策があります。今日のところは、「回路の基準であるGNDと、大地につなぐ接地は、別物」という一点だけ、頭に入れておいてください。プロほど、この2つを分けて確認しています。

確認テスト — 3問

確認テスト(3問)

確認テスト3問
  1. 第1問: 空欄に入る言葉は?「部品の両端にかかるのは、( )である」。電流か電圧、どちらでしょうか
  2. 第2問: 回路図に出てくるGND (グラウンド)の点は、必ず本当の地面(大地)につながっている。マルかバツか
  3. 第3問: 電池はそのままで、どこを0Vとするか、その基準だけを変えました。このとき変わるのはどちら?①各点の電位(=数字) / ②2点間の電圧(=差)

確認テスト:解答

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確認テスト:解答

答え 解説
第1問 電圧 部品の両端にかかるのが電圧、部品を通って流れるのが電流。「かかる」のが電圧、「流れる」のが電流、とセットで覚えましょう
第2問 バツ GNDは、回路の中で0Vの基準に選んだ点。本当の大地につながっているとは限りません。大地につなぐ「アース(接地)」とは別物です
第3問 ① 各点の電位(数字) 基準を選び直すと、+1.5Vが0Vになる、というように各点の数字は変わります。でも、電池の両端の差は、どちらの場合も 1.5Vのまま。変わるのは数字、変わらないのは差

何問できましたか?特に第3問の「変わるのは数字、変わらないのは差」は、回路解析でもずっと使う考え方です。間違えた場合は、「基準を決めて各点の電位を読む」のセクションを読み返してみてください。

このセクションのまとめ

このセクションのまとめ

今日の話を一本にまとめると
  1. 電圧は、回路の中の2点間の「差」。電気を押し出す力のイメージ。単位はボルト(V)
  2. 電流とは別物。「かかるのが電圧、流れるのが電流」
  3. 2点の「差」は基準なしで言えるが、1点の電位(=その点の数字) は基準を決めて初めて言える
  4. その基準として「ここを0Vにする」と選んだ点が グラウンド(GND)
  5. 基準を選び直すと、各点の電位の数字は変わる。でも 2点間の差は変わらない
  6. 回路のGNDと、家電のアース(接地)は別物

こうしてみると、今日の話は「電圧は2点の差。1点の電位を読むには基準が要り、その基準がグラウンドだ」という一本の筋でつながっています。電位と基準は切っても切れない関係、という感覚を、頭の片隅に置いておいてください。

まとめ — 次回予告

今回は電圧とGNDという、回路を読むうえで欠かせない概念をゼロから整理しました。次回は、もう一つ初心者がよく迷う「直流と交流の違い」に進みます。電池とコンセントの中身がなぜ違うのか、波形で何が変わるのか、をゼロから見ていきます。

シリーズの最初から読み返したい方は、導入回(Episode 0) から順に追ってみてね。それじゃ、また次回。