AIで電子工作はどこまで変わったか|5年運営してみて気づいた使いどころ

AIで変わる 電子工作の作り方

AIが入ってきて、電子工作の作り方がだいぶ変わった

最近のAIって、電子工作もできるって聞いたんだけど、本当?回路図とかコードとか、全部AIに任せていいレベルなの?

「全部任せる」はちょっとまだ早い、というのが正直なところ。ただ、自分で書く時間は確実に減ったよ。今日は5年間運営してきて感じたAIの使いどころを話すよ。

自分はこのブログを2021年から運営しています。記事も部品も配線も、ぜんぶ手書きでやってきました。それが、ここ1年ほどでAIに少しずつ任せる範囲が増え、いまでは部品の選定やコードの初版を出すところまでAIに頼っています。

この記事では、AIが電子工作のどの工程に強いのか、逆にどこは人がやらないと痛い目を見るのかを、自分の作業ログをもとに整理します。「電子工作×AI」という言葉が気になっているけれど、実際にどう使えるか掴めない人に向けて書きました。

どの工程にAIが効くのか

電子工作の工程は、ざっくり「アイデア」「部品選定」「回路設計」「コード」「組み立て」「デバッグ」に分かれます。それぞれにAIが効くかは、はっきり差があります。

工程AIの効きやすさ補足
アイデア出し「こんな用途で使えるセンサーは?」が得意
部品選定型番特定は人が裏取り
回路設計原理は説明できるが配線図は崩れがち
コード生成Arduinoスケッチは初版がほぼ動く
組み立て×物理は当然AIにはできない
デバッグエラー文と現象を渡すと当たりやすい

「コード生成」と「アイデア出し」がAIの主戦場です。逆に、「配線図を画像でちゃんと出して」と頼むと、現状は信用しすぎないほうがいいです。ピン番号や向きが微妙にずれて出てきます。

アイデア出しでの使い方

最初に効いたのはアイデア出しでした。たとえば「家にあるArduinoで、子どもが喜ぶ仕掛けを3つ提案して」のような相談をすると、3〜5案がすぐ返ってきます。

ポイントは、手元にある部品と制約をAIに先に伝えることです。「サーボ1個と超音波センサー1個、5V電源、はんだ付けは避けたい」と前提を渡すと、提案の質が一段上がります。何も渡さないと「IoT温湿度計」など、よくある答えが返ってきて手が止まります。

アイデア出しのコツ
手元の部品・避けたい作業・所要時間の3つを先に伝える。

コード生成での使い方

Arduinoスケッチの初版生成は、AIにかなり頼れます。たとえば「HC-SR04で距離を測り、20cmを切ったらD7のLEDを光らせる」と頼めば、ピンモード設定からループ処理まで、20〜40行のスケッチが返ってきます。

ただし、そのまま採用するのは早計です。ループのdelay値、シリアル通信の速度、pinModeの設定ミスを、書き込み前に必ず1回読む。これだけでも、単純な書き間違いに起因するトラブルはかなり減らせます。

よく使うプロンプトの型

毎回ゼロから書くと面倒なので、自分は型を3つほど決めています。たとえば「機能・使うピン・部品の型番・避けたい挙動」の順で渡すと、コードの精度が安定します。

自分が使っているプロンプト要素
  1. 機能の一文 (例: 距離が近づくとLEDが点滅)
  2. 使うピン (例: D7=LED, D2/D3=HC-SR04)
  3. 部品の型番 (例: ArduinoUNO R3, HC-SR04)
  4. 避けたい挙動 (例: delay()でブロックしない)

回路設計と配線図はAIに任せにくい

逆に、いまの汎用AIに任せにくいのが配線図です。自分が見てきた範囲では、特にピンの場所、抵抗値、GNDの戻しが崩れて出てくることがあります。

配線図はメーカー公式のデータシートと、AIから返ってきたスケッチのコメントを突き合わせて、最終的に自分で図を起こしています。AIには配線の文章説明 (「LEDのアノードを抵抗を介してD7に、カソードをGNDに」) は頼みますが、図そのものは紙やテキストで自分で書くようにしています。

配線図って、ASCIIアートで描く方法があるんだっけ?

そうそう、横幅さえ気にすれば等幅で十分読めるんだ。AIには文章で配線を出してもらって、自分でテキストに起こす運用が今のところ一番事故が少ないね。

デバッグでAIに渡すべき情報

動かないときの相談は、雑に投げるとほぼ役に立ちません。逆に、必要な情報を揃えて渡すと一発で当ててくることもあります。

デバッグでAIに渡す情報のチェックリスト
  1. 使っているマイコンと部品の型番
  2. 書き込み済みのスケッチ全体
  3. シリアルモニタの出力 (あれば)
  4. 実際に起きている現象 (LEDが付かない/常時点灯 など)
  5. テスターで測った電圧

個人的に一番効くのがテスターの実測値です。「5V出るはずのところに3.1Vしか出ていない」と添えるだけで、AIの推論の幅がぐっと絞られます。

AIに任せないほうがいいこと

逆に「やらせないほうが結果的に早かった」と感じる作業もあります。経験則ベースで3つ挙げます。

AIに任せないほうが楽な3つ
  1. 正確な型番のリンクや在庫情報 (古い情報が混じる)
  2. 大電流系の安全マージン (リレーやモーターの電流計算)
  3. 家電や100V系の取り回し (これは資格と知識が必要)

1つ目は秋月電子の商品ページや、メーカーのデータシートで自分で裏を取るのが結局早いです。3つ目は、そもそも電気工事士の資格範囲なので、AIに頼る前に法律と安全の話になります。

自分のワークフロー (現時点)

参考までに、いまの自分の作り方を順に書きます。1年前と比べると、コード初版の生成と、デバッグでの確認手順をAIに肩代わりさせている部分が増えました。

flowchart LR A[作りたい物を
1行でメモ] --> B[手持ち部品を
AIに伝える] B --> C[アイデア3案を
もらう] C --> D[配線は自分で
テキスト起こし] D --> E[スケッチ初版を
AIに依頼] E --> F[読んで微修正
書き込み] F --> G[動かない時は
計測値添えて聞く]

まとめ

電子工作とAIの関係は、ここ1年で「便利な相棒」と呼べる距離感まで近づきました。ただ、配線図や安全に関わる判断はまだ人が握っておいたほうが安全です。

自分の感覚だと、「アイデア」「コード初版」「デバッグの仮説出し」の3つはAIに任せて、「配線」「部品選定の最終確認」「安全判断」は自分でやるのが、いまのところいちばん事故が少なくて速い割り振りです。

自分の場合、コードの下書きをAIに任せたぶん、配線確認と実測に時間を回せるようになりました。気になるテーマがあれば、まずは手元の部品とやりたいことを1行でAIに渡すところから試してみてください。

これから、もっと踏み込んだ「AI×電子工作」の作例も別の記事で扱っていく予定だよ。