「電気回路の教科書」シリーズを始めます|文系・初心者・学び直しの方が、ゼロから現場の土台まで辿りつくための地図

電気回路の教科書 シリーズ全体像

電気を「断片」ではなく「地図」で学び直したい方へ

電気のことをちゃんと学び直したいんだけど、本を買ったりYouTubeを観たりしても、結局つまみ食いになっちゃうんだよね。何から手をつければいいのか、いつも迷ってしまうんだ。

その悩み、自分もずっと感じていたんだ。だから1ヶ月以上かけて「電気回路の教科書」シリーズを設計して、これから順番に公開していくよ。今日はその導入回として、シリーズ全体の地図と、進め方をまるごと紹介するね。

こんにちは、ボーノです。今日からこのブログとYouTubeで、「電気回路の教科書」シリーズという長期連載を始めます。電気・電子・論理・制御の基礎を、本当にゼロから順番に積み上げて、現場で通用する土台までたどりつくための講座です。

この記事は、シリーズ本編に入る前のオリエンテーション、いわば第0回にあたります。「誰に向けたシリーズなのか」「どこまで連れて行くつもりか」「全4部それぞれで何を学ぶのか」「どう進めれば挫折しないか」を、ひととおりお話しします。次回から本編が始まるので、その前にここでシリーズの輪郭をつかんでおいてください。

動画版との対応について
動画版では「第1回」として公開していますが、ブログでは「本編に入る前の導入回」という位置づけを明確にするため、ここでは第0回として扱います。次回 (動画では第2回、ブログでは第1回) から本編がスタートします。

ようこそ — 自信を持ってお届けする講座

ようこそ

今回から、「電気回路の教科書」シリーズの理論編が始まります。電気の世界を、本当にゼロから、順番に、体系立てて学んでいける講座です。理論をしっかり押さえたあとには、その先の実践編も予定しています。

じつはこのシリーズ、構想に1ヶ月以上をかけて、何をどの順番で伝えるかをじっくり練り上げてきました。内容も、ひとつひとつ自分でチェックしています。ですので、自信を持ってお届けします。

まずはこの導入回で、これから何を学んでいくのか、その全体像を一緒に眺めていきましょう。

こんな人に見てほしい

こんな人に見てほしい

まずは、この講座がどんな人のためのものか、というお話です。

スタートは、中学レベルの数学からで大丈夫です。ただ、正直にお伝えすると、完全に数学なしで理解できる講座ではありません。交流や過渡現象、制御のあたりでは、三角関数や複素数、微分積分といった高校数学レベルの考え方も使います。それらは出てくるたびに、できるだけ噛み砕いて補いますので、文系の方も、初心者の方も、学び直したい方も、いまの時点で身構える必要はありません。

ただ、ラクな近道ではない、ということも正直にお伝えしておきます。理解には、手を動かして考える時間が必要です。それでも、一歩ずつ進めば力がついていくように作りました。ですので、特に次のような方に、ぜひ見てほしいと思っています。

こんな方に向いています
  1. 将来、現場で働きたい方
  2. 独学や仕事で、基礎をきちんと固めたい方
  3. 一歩ずつでもやり切る気持ちのある方

本気のあなたを、最後まで案内します。

なぜこのシリーズを作ったか

なぜこのシリーズを作ったか

少しだけ、なぜこのシリーズを作ろうと思ったのか、その背景をお話しさせてください。3つの想いがあります。

シリーズを始める3つの想い
  1. 体系立てて学べる場の必要性 — 長いあいだYouTubeで電子工作や技術を発信してきましたが、電気を断片ではなく、順序立てて学べる場所がまだまだ少ないと感じていました
  2. 現場のニーズの広がりを感じていること — AI時代の到来と人手不足のなかで、現場の電気をきちんと扱える人を求める声や、現場志向で学び直したいという声を、以前より多く聞くようになりました。その橋渡しをしたいと思いました
  3. 理想の教材を作れる環境が整ったこと — きちんとした教材を作りたい、という思いはずっとありましたが、時間がなくて形にできずにいました。それが、AIの登場で、ようやく実現できるようになりました

最終的にどこまで行くか — 理論編のゴール

最終的にどこまで行くか

では、この理論編を学び終えると、どこまで行けるのか。

目指すのは、現場で通用するための、電気の「理論的な土台」です。ただ公式を覚えるのではなく、電気・電子・論理・制御の基礎理論を、「なぜそうなるのか」からつなげて理解している状態、と言い換えてもいいです。

具体的には、次の3つの状態を目指します。

  • 回路図や記号の意味が分かること
  • 動作の仕組みを、自分の言葉で説明できること
  • 技術者どうしの会話や資料についていけること

なお、実際の部品選定や測定、設計の判断といった実践的なところは、この理論編の先に予定している「実践編」で扱っていきます。まずはこの理論編で、その土台をしっかり作っていきましょう。

シリーズの全体地図 — 4ステップで進む

シリーズの全体地図

それでは、シリーズの全体地図を見てみましょう。

この理論編は、大きく4つのステップでできています。まず第1部が「電気回路」、次に第2部が「電子回路」、続いて第3部が「論理回路」、そして最後が第4部の「パワエレと制御」です。

この順番には意味があります。前のまとまりが、必ず次のまとまりの前提になっているからです。ですから、基本的にはこの地図にそって、前から順に進んでいくのがおすすめです。なお、この理論編は第4部で終わりではなく、その先のテーマも今後追加していく予定です。

第1部 電気回路 — 電気の基礎体力をつくる

第1部 電気回路

では、それぞれの部を、ひとつずつ紹介していきます。

まず第1部、「電気回路」。ここでは、直流回路の基礎から始めて、オームの法則、交流、そして時間とともに変化する過渡現象まで進みます。いわば、電気の「基礎体力」をつくる部です。この先のすべての土台になる、いちばん大事なところです。

第1部 電気回路 — もくじ

第1部 電気回路 — もくじ

第1部で学ぶことを、もう少しくわしく見てみましょう。

まずは直流回路の基礎。回路図記号や、電流と電圧、グラウンドといった土台を固めます。そこからオームの法則と、電力や直列・並列の計算へ進みます。さらに、回路を解くための諸定理、電気をためるコンデンサとコイル、そして交流回路へ。最後は、交流の電力や三相交流、過渡現象まで扱います。

第1部で扱うトピック
  1. 直流回路の基礎 (回路図記号、電流と電圧、グラウンド)
  2. オームの法則と電力、直列・並列の計算
  3. 回路を解くための諸定理
  4. 電気をためるコンデンサとコイル
  5. 交流回路と複素数の使い方
  6. 交流の電力と三相交流、過渡現象

ここを通ると、電気の基礎体力がしっかり身につきます。

「過渡現象」って言葉、聞いたことないんだけど、難しそうな響きだなぁ…。

名前は難しそうだよね。でも、本編に入れば図を使いながらゼロから説明していくから、いまは「そういう言葉が出てくるんだ」くらいで大丈夫。身構えなくていいよ。

第2部 電子回路 — 信号を操る

第2部 電子回路

次に第2部、「電子回路」。

ここでは、半導体やダイオード、トランジスタ、オペアンプといった部品が登場します。これらを使って、小さな信号を大きくしたり、形を変えたり、と「信号を操る」技術を学んでいきます。身のまわりの電子機器の中身が、だんだん見えてくる部です。

第2部 電子回路 — もくじ

第2部 電子回路 — もくじ

第2部で学ぶことも、ならべてみましょう。

まず半導体とダイオードのしくみ。そこから、電気をきれいな直流に整える整流回路と電源へ進みます。続いてトランジスタの動作、それを使った増幅回路、増幅の主役であるオペアンプとその実用回路、そして最後は、信号の形を作ったり伝えたりする発振・変調と復調まで扱います。

第2部で扱うトピック
  1. 半導体とダイオードのしくみ
  2. 整流回路と電源 — 電気をきれいな直流に整える
  3. トランジスタの動作
  4. 増幅回路 — 小さな信号を大きくする
  5. オペアンプと、その実用回路
  6. 発振・変調と復調

部品ひとつひとつが、何のためにあるのか。そこに筋道が通り始める部です。

第3部 論理回路 — コンピュータの中身を作る

第3部 論理回路

続いて第3部、「論理回路」。

ここでは、0と1という、たった2つの数だけを使って、コンピュータの中身がどう作られているのかを学びます。論理ゲートを組み合わせて、計算したり、記憶したり。ふだん何気なく使っているコンピュータの、いちばん奥のしくみに触れる部です。

第3部 論理回路 — もくじ

第3部 論理回路 — もくじ

第3部で学ぶことを見てみましょう。全部で4つの章があります。

まず1章目は、2進数と論理回路の基礎。2進数やブール代数、論理ゲートといった土台です。2章目は、それらを組み合わせた組合せ回路。3章目は、記憶を持つ順序回路とフリップフロップ、そしてカウンタやレジスタ。最後の4章目で、メモリや、アナログとデジタルを変換するAD・DA変換まで進みます。

第3部で扱うトピック
  1. 2進数と論理回路の基礎 (ブール代数、論理ゲート)
  2. 組合せ回路 — 論理ゲートを組み合わせる
  3. 順序回路とフリップフロップ、カウンタやレジスタ
  4. メモリと、アナログとデジタルを変換するAD・DA変換

コンピュータが、計算と記憶をどうやって実現しているのか。中身を覗き込むような部です。

第4部 パワエレと制御 — 動かす・操る

第4部 パワエレと制御

そして最後が、第4部の「パワエレと制御」です。

ここまで学んできた電気・電子・論理を、ぜんぶ使って、電源やモータを動かし、思いどおりに操るところまで進みます。電気をうまく変換する電源回路、モータを回す駆動回路、そしてそれらを思いどおりに操る制御。学んできたことが、現実のものづくりにつながっていく、という手ごたえを感じてもらえる部です。

第4部 パワエレと制御 — もくじ

第4部 パワエレと制御 — もくじ

第4部で学ぶことを、ならべてみましょう。

まずは電源回路。電気を効率よく変換する、DCDCやスイッチングのしくみを学びます。次にモータを動かす回路。いろいろな種類のモータと、その駆動回路へ進みます。そして後半は制御工学です。フィードバックという考え方から始めて、システムの応答や安定性、代表的なPID制御まで扱います。

第4部で扱うトピック
  1. 電源回路 — DCDC、スイッチング電源
  2. モータの原理と種類、駆動回路
  3. 制御工学の基礎 — フィードバックの考え方
  4. システムの応答と安定性
  5. PID制御 — 代表的な制御の手法

ここまで来ると、学んだことを使って、自分で機械を動かし、思いどおりに操る世界が見えてきます。

全部で4部もあるなんて、ちょっと気が遠くなる。途中で挫折しそうだなぁ…。

気持ちは分かる。だから次の章で、挫折しないための進め方のコツを3つに絞ってお話しするよ。これを押さえておけば、焦らず自分のペースで進められるよ。

さあ、はじめましょう — 3つの進め方

さあ、はじめましょう

最後に、このシリーズの進め方のコツを、3つだけお伝えします。

挫折しないための3つのコツ
  1. 地図にそって、順番に観ること — 前のまとまりが土台になっているので、順番が大事です
  2. つまずいたら、遠慮なく前の動画に戻ること — 分からないのは、たいてい一つ前に原因があります
  3. 1本=1テーマだから、自分のペースで進めて大丈夫 — 一気にやらなくても、少しずつでも力はついていきます

むずかしく感じる時もあるかもしれません。でも、一歩ずつ進めば、分かるところまで届くように設計してあります。あなたのペースで、一緒に進んでいきましょう。

よくある誤解を、先に整理しておきます

始める前に、初心者の方がよく抱える3つの誤解を先に解いておきます。

誤解 実際は
導入回でオームの法則や回路図を学べる 導入回はあくまで地図。中身は第1部の本編から始まります
文系では電気は無理 必要な数学はその都度補います。手を動かしながら一歩ずつ進めるので、予備知識ゼロから始められます
全140本前後の長いシリーズを、一気にやらないと意味がない 1本=1テーマで区切って進められます。順に観て、つまずいたら戻ればOKです

特に1つ目は大事です。今回はあくまでシリーズの「地図」を渡す回です。次回からは、第1部の最初のテーマ「電気回路と回路図記号」が本編としてスタートします。

まとめ — シリーズの最初の一歩を、ここから

今回は「電気回路の教科書」シリーズの導入回 (第0回) として、誰に向けたシリーズなのか・どこまで連れて行くか・全4部それぞれで何を学ぶか・どう進めるか、をひととおり紹介しました。

大切なのは、「電気は、順を追えば、文系でも初心者でも分かるところまで届く」ということです。あなたが「学び直したい」「現場の言葉が分かるようになりたい」と思っているなら、このシリーズはそのまま教材として使ってください。シリーズを通読し終える頃には、技術者どうしの会話や、メーカーの資料に手が届きやすくなっているはずです。

次回から、第1部の本編が始まります。最初のテーマは「電気回路と回路図記号」。回路という言葉の本当の意味と、回路図の読み方を、図を使ってゼロから整理していきます。引き続き、よろしくお願いします。

動画版も公開しているので、文字で読み返したい部分はブログで、流れで一気に学びたいときは動画で、と使い分けてみてね。それじゃ、また次回お会いしましょう。