こんばんは、ボーノです。
最近、チームラボ高須さんの書いたメイカーズのエコシステムや、最近のForbesでの特集、その他ニュース等で深センの名を色々な所で目にするようになってきました。
またDJIやテンセント、ファーウェイ等の名だたるメーカーの本拠地という事も知り、深センという場所への興味は日に日に増していきました。
本当は高須さんが主催されている深セン観察会に参加できれば良かったのですが、次の予定も分からなかったので断念しました。
そこで、意を決して一人で旅立つことに。
2泊3日の短い旅ですが、その時の記録です。
他にも行きたい人がいるかもと思い、可能な限り細かく記載しておきます。
コンテンツ
旅の目的
旅の目的は主に3つありました。
世界最大の電気街を自分の目で見る事
1番は、電気屋なんだから世界一の電気街は見ておかないとダメでしょ!という単純な理由です。
これがほぼ全てで、他の理由はおまけです。
自身が電気屋なので、秋葉原に部品を買いに行く事も良くありました。
部品屋は概ね回ったかと思っています。
しかし、何度も足を運ぶうちに、結局秋葉原ってない部品の方が多いよな、ていう事にも気付かされます。
抵抗やコンデンサならともかく、センサやディスプレイ、モータの類は「この仕様のこの型名が欲しい!」という事が大半なのですが、そうするとよほどメジャーなものでない限りまず見つかりません。
つまりはあれだけ電気街のイメージのある秋葉原も、規模としてはそんなものなのです。
ただ、世界中から人が集まってきているわけだし、秋葉原の電気街は世界一でしょ!という勝手な思い込みから、秋葉原を概ね知った事で電気屋としては満足していました。
しかしそんな中、世の中には秋葉原の30倍の規模の電気街があるらしいよ?て言われたらもう行かない手はないでしょう。
ハードウェアメーカやスタートアップが生まれる源泉を知る事
なぜ深センが上記のような名だたるメーカーやスタートアップを輩出できたのかを知りたかったです。
ただ大きい電気街があったからだけなのか?それとも他の理由があったのか?
たかだか2泊3日でどこまで知れるか分かりませんが、、。
ガジェットの部品調達
あわよくば、今進めているガジェットの部品を調達したかったです。
数が多かったので、現地で少しでも安い部品があればと期待して行きました。
事前準備
事前準備としてやった事を簡単に記載しておきます。
メイカーズのエコシステムの読破
恐らく現時点で書籍/ブログ含めて深センのテック事情について最も詳しく書かれたものです。
2016年3月に出版されたものですが、その内容は1年以上経った今も色あせていません。
この本で、華強北という地区が最も熱い場所である事、HAXやSeeed Studio、Makeblockというアクセラレータやメーカーが深セン出身である事を知りました。
Airbnbにて宿を予約
なるべく安く済ませたかったので、シェアルームにしました。
1泊¥1,200です。
相場として、まるまる貸切だと¥5,000前後、個室だと¥3,000前後、シェアルームだと¥1,500前後といったところのようです。
ちなみに、Airbnbを使う時の注意点!
地図が実際の位置と違う事があります!
私は今回含めて2回食らった事があります。。
ググると海外だと結構多いようで、皆さんも気をつけて下さい。
事前に住所を聞いておくと安心です。
ちなみに今回宿泊したのは酷客青年旅社という所。部屋は2立方メートルくらいの広々とした空間でした笑
アプリのインストール
下記アプリを事前にインストールして行きました。
- Google翻訳
- 百度地図
- 高徳地図
- Uber
Google翻訳は必須ですね。
特に深センは英語が通じない事がほとんどなので、日本語⇄中国語は良く使いました。
現地では電子マネーが進んでいてどこでもWeChatが使える!という記事があり、私もインストールして行きましたが、結局気づいたら全て現金で払っていました。
地図としては百度地図と高徳地図をインストールしましたが、高徳地図の方が、検索した時のヒット率が高かったと思います。
要注意なのは、Google Mapは使い物にならない程現在地とマップ上の位置がずれている事。
数100mは平気でずれます。
上記2つのマップはずれても数10m以内だったので、他国のアプリという事で意図的にずらされているのでしょうか?
日本でもGPSの誤差は意図的に大きくされているという話は聞いた事があります。
また、UberはiOSのバージョンが合っていなかったらしく、全く使えませんでした。
simの購入
香港空港からバスで行く事もあり、香港と深セン、両方で使えるsimを選びました。
Amazonで最も評価の高かった下記商品を購入。
レビュー通り、香港と深セン共に何なく使えました。
マニュアルのリンクが記載されているので、事前にPCに保存しておく事をオススメします。
行き方
下記ブログの通り、3通りの行き方があるようです。私は最も安くメジャーなバス+MRTを選びました。
[2017年版]香港空港から深センへの行き方(フェリー・MTR・リムジンバス)まとめ
注意点としては、バスが朝7:00以降しか運行しない事(夜は確か22:00位が最終だったと思います)。
私は早朝4:30到着(LCCにありがち、、)だったので、かなり時間を持て余しました。
4:30 香港空港到着
飲食店も閉まってる。マックはやってるけど長蛇の列。
コンビニでパンを買い、椅子に座って食べならが本を読んで時間をつぶしました。
8:00 バスA43便に搭乗
私はA43に乗りましたが、A43Pでもほぼ同じルートで行けます。
30.9香港ドルを乗車時に支払います。お釣りが返ってこなそうだったので、事前に用意しといた方が無難です。
8:45 上水駅到着
特に混む事もなく、のんびり揺られていたら着きました。社内のUSB充電器で充電。
上水駅が終点ではないので、油断していると通り過ぎちゃいます。
9:00 上水駅出発
確か20香港ドルくらい。羅湖行きに乗ります。
線が2本しかなく、ここも間違えにくいかなと思います。
9:10 羅湖駅到着
1駅なのですぐ着きます。
到着したらイミグレへ。言われるがままにパスポートやチケットを見せます。
今回は大丈夫でしたが(並んでも10人程度)、帰宅ラッシュ等に捕まるとかなりの行列になるようです。
9:50 深セン到着!
バスに乗ってからだいたい2時間で到着しました。
想像以上に街!
電気街
早速電気街へ。地下鉄2号線の華強北駅か、1号線の華強路駅で降ります。
上記ルートで着くと、地下鉄1号線の羅湖駅が最も近いです。
まずはという事で1号線で直通で行ける、華強路駅まで行きました。
華強北に行きたい時は、大劇院駅で2号線に乗り換えます。
全体概要
周った感触だと、下記ピンク色の範囲内に電気屋/部品屋が集中していたと思います。
ただし、たかだか2日周っただけなので見落としている箇所もたくさんあると思います。
あくまで集中している地域がここ、という程度に捉えて下さい。
ビル内部
広すぎてとても周り切れず、また撮影もほんの一部しか残せていません。
遠目で見た様子
どこを周ってもこんな感じ。まさに秋葉原のラジオ会館。さすが真似して作っただけあります。
ビル1階が丸ごとLEDコーナー!店員さんは良く目がおかしくならないですね。
一度入ったら出てこれない程、中は迷路状態。あれ、ここさっき通ったかも?という事が何度もありました。
ありふれた光景
これもほんの一部。基本的に商品が無造作に置かれています。
2時間も歩けば、物が溢れすぎて気持ち悪くなってきます。本当に。
キーボードのシール専門店!他にもXXGBの容量が書かれたシール専門店もあります笑
部品購入に挑戦
せっかく来たからには、今進めているガジェット用に下記部品を購入しようと考えました。
- 1インチ程度のカラーOLED(有機EL)
- リチウムイオン電池
しかし最大の問題が、、英語が全くと言っていい程通じません!
ちんぶとん(聴不懂:何を言っているか分からないの意)の連続でした。
そしてもう一つの大きな問題。。
どこに何があるか全く分かりません!
リチウムイオン電池は色んな所で見かけたのですが、OLEDは結局見つからず断念しました。
誰かマップ作って下さい、、。
しかもリチウムイオン電池は、奇跡的に英語が一部通じたものの350mAh品で1個60元(約1,000円)との事。
日本で買った方が安いわ!
噂は聞いてましたが、やはり数個レベルの個人にはあまり本気で売る気は無いと理解しました。
という事で、結局部品は買えず。
気づいた点
店を周っていると、下記のようないくつか不思議な点が出てきました。
基本的に客はいない
基本的に客がいません。圧倒的に店員の数の方が多いです。
店員は暇そうに、大半の人がおしゃべりをするかスマホをいじるか寝ています。
4人いて4人全員スマホをいじっている、なんて事も普通です。
なんでこれでやりくりできているのが、本気で謎です。
店員にとって店舗は生活圏として捉えている
商品の置いてあるディスプレイの上で、お茶したりご飯を食べたり、赤ちゃんを寝かしたりしていました。
また、ビル内のそこら中で店の子供達がかけっこをしたりおもちゃで遊んでいました。
これらを見てると、店員らにとってここはお店というより家の一部なのかな、という印象を受けました。
そこら中でダンボールの箱詰めが行われている
これも不思議なのですが、客はいないのにそこら中で箱詰め作業が行われています。
ダンボールを梱包する時のテープのビリビリ音がかなりうるさいです。
恐らく、ここの実店舗はあくまで窓口的な役割で、メインの販売ルートはやはりネットなのかな?と推測しています。
深センの街
街は若者だらけ
高齢者は2%、若者が60%以上を占めるという話を聞きましたがまさにその通りでした。
渋谷よりも更に若者比率が高かったと思います。
また、やはり若者はエネルギーに溢れているようで夜はゲーセンやショッピング街がとりわけ賑わいます。
昔でいうダンレボの周りには人だかりもできていました。
夜10時を過ぎても飲食店は賑わっていました。
台北もそうでしたが、下記のような条件を満たした場所からスタートアップは生まれやすいのかな、という印象を受けました。
- 若者比率が高い→仲間を集めやすく、何より新しいサービスに順応しやすい
- 街の規模が大き過ぎない→あり余ったエネルギーがモノづくりに向きやすい
深センは上記に加え、下記条件が揃っている事がハードウェアスタートアップを生む源泉なんだと感じました。
- 物が文字通り目の前にあり、アイデアがすぐ形にできる
- 生活圏の一部のため、子供の頃から部品や電気製品に囲まれていて、自然にものづくりの興味が湧く
深圳湾公園駅周辺
少し西の方に行くと、世界の窓という怪しい駅があります。
その近くに深圳湾公園という駅があり、この周辺は有名メーカが多く出店をしていました。
もともと、DJIフラッグシップショップを目的に行ったのですが、テスラモータの店舗、チームラボの展示等、滅多にお目にかかれない物が多くありました。
ただ、これだけ有名どころが名を連ねているのに歩いている人は皆無です。
潰れないかと心配になってしまいますが、、穴場には違いなさそうです。
後は、できればHAXやSeeed Studioのオフィス、ものづくりスペースも見てみたかったのですが時間と体力的に厳しく断念。大雨さえなければ、、。
所感
2泊3日という短い期間だった事もあり、大雨だった事もあり、全て周り切れずあっという間に終わってしまいました。
所感を思いつくままに。
大量の"ハードウェア"を保有している事の強み
当たり前ですが、ハードウェアを作るには部品、センサ等の"ハードウェア"が必要です。
先日、深センで部品を一から揃えてiPhoneを作ってしまったという動画が話題になったように、それだけのハードウェアを揃えた場所は恐らく世界で深センのみではないでしょうか。
ハードウェアは物理的に存在する物であるが故に、いきなり深センの真似をしようとしてもそう簡単ではないと思います。
今回間近で見て、その難しさを肌で感じました。
そのため、深センは当分の間はハードウェアスタートアップの中で、インターネット企業にとってのシリコンバレーのような絶対的な位置に立ち続けるのではないでしょうか。
秋葉原が生き残る道
最初、秋葉原の30倍の規模の電気街と聞き、もはや秋葉原の存続の危機すら危ういと思っていました。
しかしながら、実際に周ってみるとそこは本気で"電気"の要素しかない街で、秋葉原のような電気と萌えがうまく調和した雰囲気とは似て非なるものでした。
歩いて2時間で気が滅入りそうになったのは、規模が大きすぎるのもそういった単一要素しかないのが一つの要因なのかな、と感じました。
よって、秋葉原は電気街としては弱いものの、総合力ではまだまだ勝負できると思いました。
また行きたい
深センはまた、30年で30万人が1200万人の規模になったという、人類史上最速で拡大した街でもあります。
その成長はまだ止まっておらず、今回行った時もそこら中で建設ラッシュでした。
恐らく1年後にはまた違う景色になっていると思います。また行くのが楽しみ。
その頃には電気街のマップが世に出ているでしょうか。。
まだまだ書き足りない事もありますが、行った事ない方、これから行く方の参考になれば幸いです。