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【電子工作基礎編】電気屋じゃなくても分かる回路図の読み方
先日Twitterでアンケートを取ったところ、「回路図の読み方」について悩んでいる人が結構多いことが分かりました。
ということで今回は、「電気屋じゃなくても分かる回路図の読み方」というテーマで話をしていきたいと思います。
この記事を最後まで読むと、回路図の基本ルールが理解できるようになり、回路図が読めるようになりますので、是非最後までご覧ください。
回路図の基本ルール
まずは、最低限知っておくべき回路図の基本ルールについて説明します。
回路図には絶対的なルールがあるわけではありませんが、誰が見ても読みやすいように、お作法的なものは存在します。
そのお作法は、ざっくり言うと次のように4つがあります。
- 電気の流れは左から右へ
- 電圧が高い方は上、低いほうを下に
- 同じ線の部分は同じ電圧レベル
- 同じ名前のラベル同士はつながっている
公開されているArduinoの回路図を例にとって一つずつ紹介します。
まず一つ目は、「電気の流れは大まかに左から右方向に流れる」というものです。
例えば以下の画像を見ると、左側では電源電圧VINが入力され、それを抵抗によって分圧された電圧がコンパレータに入り、右側から出力されます。
その信号は、FETに入力されます。
FETの部分も左側から信号が入力され、FETがONすると右側に伝わり、三端子レギュレータを通して右側から3.3V電圧が出力されます。
回路図はパッと見ただけでは電流の向きは分からないのですが、この基本的なお作法を頭に入れておくと読み解きやすくなると思います。
次は「電圧が高い方は上、低い方を下に書く」というものです。
電圧は、よくダムのようなもので例えられる事が多いので、このイメージは分かりやすいかと思います。
回路図を見ても分かるように、多くの場所で電圧が上に書かれていました。
次は「同じ線でつながっている部分は同じ電圧レベルである」という事です。
例えばこの部分ではお互いに接続されているので、全て同じ電圧が加わっている事になります。
最後は「電源やGND、ラベルが同じ名前である場合、それらはお互いにつながっている」という事です。
例えば以下の回路図を見ると、+5Vという名前のついた電源がたくさんありますが、これらは全て回路上ではつながっています。
また以下の画像では、USBVCCという同じ名前の信号があり、回路図上では離れていますがこれらも実際にはつながっています。
これは、回路図がぐちゃぐちゃにならないように線をできるだけ減らすための工夫です。
最低限覚えるべき回路記号
次に、最低限覚えておくべき回路記号を紹介します。
回路記号をあらかじめ覚えておくと、回路図を読むのが格段に楽になるのでここで抑えておきましょう。
まず以下の画像は、超基本となる電子部品の回路記号です。
抵抗はこのギザギザのやつか四角いやつが同じくらい使われています。
コンデンサは、電解コンデンサのように向きがあるタイプのものは片側にプラスマークをつけます。
ダイオードとLEDは、素子の構造が同じなので、光を表す矢印があるかないかだけで同じ記号が使われています。
トランジスタとFETはそれぞれ2種類あり、矢印の向きだけが違っています。
トランジスタは電流の流れる向きと矢印の向きが一致しているので覚えやすいですが、FETは、構造上素子の中にできてしまう寄生ダイオードの向きを表しているので、少し感覚的に理解し辛いかもしれません。
以下の画像は電源で、直流か交流かで使用される記号が異なります。
以下の画像は、回路図を読み解く上でキーとなる回路記号たちです。
GNDとアースは区別なく使われる事もありますが、GNDは回路内で電圧の基準となる点、アースは接地と言って大地に接続する点なので厳密には違う意味を持っています。
信号線は、回路図上の離れた場所同士を接続するときに使われます。
矢印の向きが入出力の向きに一致するので、読み解きやすいようになっています。
配線については、線同士が接続された部分には黒丸を打つ事になっています。
ちなみに黒丸の有・無は分かり辛かったりするので、十字は作らないようにするのが良い回路図と言われています。
そして最後に、特殊用途の部品も載せておきます。
回路図を読むときのコツ
最後に回路図を読む時のちょっとしたコツを 2 つだけ紹介しておきます。
- 機能ごとに理解すると読み解きやすい
- 回路図には設計者の意思や意図が込められている
まずは回路図は、ある程度機能ごとにまとめて書かれていることが多いので、機能ごとに理解すると読み解きやすいという点です。
このArduinoの回路図では、電源部、 CPU部、インターフェース部などに分かれていました。
そのため、例えば電源部を見るとどの電圧を基に何ボルトの電圧がどのように作られるかというように電源の流れにフォーカスをして考えることができます。
2 つ目は回路図には設計者の意志や意図が込められているという点です。
その理由の 1 つとして設計というのは回路図を書いた後、その次に基板のレイアウトやパターン設計に移るのですが、この時に設計者は回路図に書かれている情報を参考にするためです。
例えば CPUの心臓部となる水晶や、安定動作のために使われるコンデンサは CPUの近くに配置したいので、やはり回路図でもCPU の近くに書かれることが多いです。
このように回路図はただのお絵描きではないということを頭に入れておくと、もう一歩深い理解ができてステップアップできると思います。
まとめ
今回は、「電気屋じゃなくても分かる回路図の読み方」というテーマで話をしてきました。
最初は覚えることが多いかもしれませんが、大体出会う回路記号は限られているので、ここで紹介した記号だけでもまず抑えておきましょう。
回路図をたくさん見て勉強したいという方は、CQ出版のメルマガがお勧めです。
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