【電気のキホン】6.超基本の電子部品の原理と構造|学び直しエレクトロニクス

【電気のキホン】6.超基本の電子部品の原理と構造|学び直しエレクトロニクス

YouTube

ここでは、超基本となる6つの電子部品の原理と構造ついて説明します。

※動画の一部に誤りがありました 。
9:56 正しくは、(a)と(b)で電池のプラスマイナスの向きは同じです。
(b)の「+」と「ー」の向きが逆になっておりましたのでご注意ください。

目次
0:00 抵抗
2:04 コンデンサ
3:58 コイル
5:25 ダイオード
8:15 トランジスタ
10:14 FET

【電気のキホン】6.超基本の電子部品の原理と構造

電子部品の種類については知識がついたけど、電子部品の構造が分からなくて困っているんだ。

それじゃあ電子部品の原理と構造について一緒に学んでいこう!

この記事では、電子部品の原理と構造について説明していきます。

この記事を最後まで読むと、電子部品についての知識がさらに深まり、より電子工作を楽しめるようになると思いますので是非最後までご覧ください。

抵抗

初めに超基本となる6つの電子部品にフォーカスして原理と構造を説明します。

電子部品のカテゴリ
  • 電気を制御・加工する部品
  • 世の中を測定する部品
  • 仕事をする部品
  • 特定の動作・処理をする部品
  • エネルギー源となる部品
  • 電子機器を構成するための部品

まずは、全ての電子部品の中でも最も基本と言える抵抗について説明します。

抵抗の主な役割は「電気の流れを抑える」ことであり、流れを制限することで、ここで挙げたようなメリットが生まれます。

以下の図は、抵抗の役割をモデルで説明した図です。


モデル内では、抵抗は電子の流れを邪魔する障害物で表す事ができます。

(A)は抵抗がない場合を表しており、抵抗がないと、電子の供給元である電源から大量の電子が流れてくる事が分かります。

この結果、接続している電子部品や配線を壊してしまったりする可能性があります。

また電源も無限に多くの電子を送れるわけではないので、流しすぎにより電源を壊してしまう恐れもあります。

そこで使われるのが、(B)で示すように、障害物である抵抗です。

障害物を置くと、電子の流れを邪魔し、少しずつ流すことができます。

結果として電子部品や銅線、電源を保護することができます。

また、電源から供給できる電子の量には限りがあります。

そのため、複数のルートが存在する回路の場合、それぞれのルートに適切に電子を分配する必要があります。

その際に、抵抗を使うと電子の量を調整できるため、簡単に分配することができます。

結果として電子部品や銅線、電源を保護することができます。

なお抵抗値の大小は、障害物の大小に相当します。

次に以下の画像は、抵抗のパッケージを一部開いた実物写真と断面のイメージ図です。

構造としてはシンプルで、ボディはセラミックでできており、その周りは炭素皮膜で覆われています。

セラミックは絶縁体であるため電気は流れず、代わりに表面の炭素皮膜を流れます。

炭素皮膜は、金属ほどではないものの電気を流しやすい性質を持っています。

炭素皮膜には切れ込みが入っており、炭素皮膜の幅を狭くすることで障害物の役割を果たしているんです!

その外側には保護用の塗料と、さらにその外側にはカラーコードと呼ばれるカラフルな線が塗られています。

カラーコードは、それぞれの色に意味が割り当てられており、以下のコードを見るだけでその抵抗の大きさを読み取ることができます。

コンデンサ

次はコンデンサです。
コンデンサは抵抗に続き、2番目に多く使われる電子部品です。

主に「電圧の変動を抑えたいところ」に使われます。
コンデンサの役割は「バケツのように電気を一時的に蓄えること」です。

電気を蓄えることで、次のようなことに役立てることができます。

以下の図は、コンデンサの役割をイメージで書いてみたものです。

IC(集積回路)のような電子部品は動作に必要な電流量は常に一定なわけではなく、状態によって変動する事があります。

その時に、遠くの電源から供給しようとしても、電子の供給が間に合わずに動作不良を起こしてしまう恐れがあります。

そんな時に、この図のように近くにコンデンサがあると、その中に一時的に蓄えられた電子が流れ出て、電子部品に足りない部分を補充してくれます。

そのため、電子部品を安定的に動作させることができます。

また、電子回路は静電気や電磁波など、様々なノイズにさらされています。

ノイズが回路に乗ってしまうと電圧が急激に変動するため、誤った電圧値を読み取ってしまったり電子部品を破壊してしまうリスクがあります。

そんな時にコンデンサがあると、電子が一時的に増えてもバケツのように蓄えてくれるため、電圧変動量を抑えることができます。

以下の図は、コンデンサのパッケージを開いた写真と、構造を説明した図です。

ここで示すように、コンデンサはプラス電極とマイナス電極の間に絶縁体の層があり、それぞれが薄い膜になってぐるぐるに巻かれた状態になっています。

コンデンサに電圧をかけた様子を表したのが以下の図になります。

コンデンサは、絶縁体を挟み込む形で、プラス電極とマイナス電極が配置されています。

この絶縁体は電気を通さないのですが、非常に薄く作られているため、プラス電極側のプラスとマイナス電極側のマイナスが互いに引かれ合って保持されます。

結果として、外から何らかのエネルギーを加えない限り、これらのプラスとマイナスは居続けるのでバケツのように蓄えることができます!

コイル

次に紹介するコイルは、普段目にすることは少ないですが電子部品の中でも縁の下の力持ち的な存在です。

コイルの役割は「水車」に似ています。
コイルを電気回路に応用すると、以下のようなことを実現することができます。

水車は回り始めは遅いですが、回り始めると水の供給をやめてもすぐには止まらず、しばらく回り続けます。

これは見方を変えると、水車がエネルギーを蓄え、それをゆっくり放出することで回り続けているとも言えます。

この性質を電気回路に応用した例が以下の図です。


以下の図のように、コイルがない場合、スイッチをオフして電子の流れを遮断すると、その時点で電子部品への電子の供給は停止します。

一方で、コイルがある場合はスイッチをオフしても電子の供給は継続し、徐々に供給量は減るものの、しばらくは供給し続けます。

このコイルとコンデンサを組み合わせると、DCDCコンバータのような電圧変換を実現することができます。

また水車の回り始めが遅いということは、ノイズなどで短時間で急激に電子の流れが増加しても、その流れを抑えられるということを意味しています。

そのため、コイルもコンデンサと同じように、ノイズによる回路の誤動作を抑える役割があります。

以下に、コイルの実物と構造の概要図を示します。

構造は非常にシンプルで、コアと呼ばれる磁石の周りを銅線でグルグルに巻くだけでコイルのできあがりです。

コイルは構造がシンプルなので、自作でも簡単に作ることができますよ!

ここまで説明した3つの部品は、外部から受け取ったエネルギーを消費することで電気のかたちを加工する部品です。

一方で、ここから紹介する3つの部品は、受け取ったエネルギーを元にして電気を制御する部品です。

ダイオード

電気を制御する部品には主に半導体が使われ、その最も基本的な応用例であるダイオードから紹介します。

ダイオードの役割は「弁」のように、一定方向にだけ流れるようにすることです。
これは流れを整えるという意味で、整流作用と呼ばれます。

以下の図のように、(A)の場合は電子の流れによって弁のフタが押され、電子が通過できます。

この方向はダイオードに電流が流れることになるので、順方向と呼ばれます。

一方で、(B)の方向に電子が流れると弁のフタが閉じる方向になるので、電子はダイオードを通過することができません。

こちらは逆方向と呼びます。

結果として、順方向にしか電子は流れないことになります。

なおダイオードの端子はアノード、カソードという名前が付けられており、電子はカソードからアノード方向へ、電流はアノードからカソード方向へ電流が流れます。

以下の図は、ダイオードの写真と構造のイメージを描いたものです。

ダイオードの中身を拡大すると、P型の半導体とN型の半導体がくっついた形になっています。

半導体チップはアルミフレームの上に乗っており、アルミフレームは、金などによって作られた細いワイヤーで接続されます。

続いて以下の画像は、ダイオードが整流する様子を説明した図です。

P型半導体にはホール、N型半導体には電子が多く存在します。

(A)の方向に電源をかけると、ホールは電源のプラス側から反発し、電子は電源のマイナス側から反発するするので、ホールと電子がそれぞれ接合した界面の方向に向かって移動します。

ホールは電子が足りない状態を表しているので、ホールと電子が出会うと、お互いに結合して電気的に中性となって消失します。

消失した分、新たにN型半導体には電子が注入され、その分P型半導体からは電子が流出し、代わりにホールが注入されます。

そして電源からはホールと電子が供給され続けるので、このホールと電子の結合・消失が次々と起こります

これは電子・ホールが常に移動する状態であるため、電流が流れている状態となります。

一方で、(B)のように逆向きに電源を接続すると、電源プラス側に電子が移動し、マイナス側にホールが移動します。

結果として電子とホールが離れた状態となり、お互いに出会わないため結合されません。

この時、P型半導体とN型半導体の界面付近は電子もホールも存在しないため、電気が流れない領域になります。

このように、(B)の方向で電源を接続した場合、電子・ホールの連続した流れを作ることができず、電流が流れないことになります。

これが、ダイオードの整流作用の仕組みです!

トランジスタ

続いて、ダイオードと並んで重要な半導体部品であるトランジスタを紹介します。

トランジスタの役割は「電気をスイッチすること」です。

手でパチパチとON/OFFする物理的なスイッチとは違い、電気的に制御できると、高速に且つ人の手が入らないところでも回路を切り替えられるメリットがあります。

以下の画像はトランジスタの役割を説明した図です。
トランジスタは図の黄色い点線部分で表されています。

トランジスタのON/OFFを切り替えるのはベース端子の役割であり、以下の画像の(a)のように電子が何も流れていないと、コレクタとエミッタ端子間には大きなL字の壁に遮られて流れないようになっています。

 一方で(b)のようにベースに電子を注入すると、壁が倒れてコレクタとエミッタ間が開通し、電流が流れるようになります。

トランジスタの構造は以下の図のようになっており、部品からは3本の脚が出ています。
脚はそれぞれ「エミッタ、コレクタ、ベース」と呼ばれ、エミッタ、コレクタはN型半導体、ベースはP型半導体につながっています。

P型半導体は、後程説明するように、エミッタからコレクタへ電子が飛び越えやすいように薄く作られています。

またトランジスタもダイオードと同じく、それぞれのリード線はアルミフレームにつながっており、アルミホイールはワイヤーを通して半導体チップにつながっています。

続いて以下の画像は、トランジスタの動作原理を表した図です。

以下の画像の(a)はコレクタとエミッタの間にだけ電圧がかけられています。

この時、コネクタの電子は図の左側、ベースの方は図の右側に移動するため、ダイオードで逆方向に電圧をかけた状態となります。

この状態では、ホールと電子が出会わず、流れが滞ることになる為電流が流れません。

ここで(B)のようにベースとエミッタの間に電圧をかけてみます。

この時ベースのホールとエミッタの電子がお互いの方向に進み、ホールと電子が出会って消失します。

ベースの幅は非常に狭い為、この時ベースとエミッタの間にかけられた電圧によって、電子が勢いよくベースを飛びこえ、電気が流れます。

FET

最後に紹介するFETは、トランジスタと親戚のような部品です。

CPUの中身は、FETで作られていることが多いのですが、これはFETはスイッチする速度や消費する電力がトランジスタより優れているためです。

FETの役割は、トランジスタと同じく電気をスイッチする事です。

役割のイメージは、トランジスタと同じなので説明を省力します!

以下の画像はFETの構造で、トランジスタと同じく部品からは3本の脚が出ており、それぞれ、「ゲート・ドレイン・ソース」と呼ばれます。

ゲートは電極へ、ドレイン・ソースはP型半導体へと繋がっています。

P型半導体の周りは、N型半導体で囲まれており、N型半導体とゲート電極の間には絶縁体で作られた膜が張られています。

続いて、以下の図はFETの動作原理を示した図です。

(a)ではゲートに電圧がかけられておらず、ドレインとソースの間にだけかけられています。

以下の図の点線で囲った部分を見ると、ドレイン側からN型半導体・P型半導体・N型半導体が並んでいるので、この時はトランジスタのスイッチOFFの場合と同じように、電気は流れません。

ここで(b)のように、ゲートとソース間に電圧をかけると少し様子が変わってきます。

ゲートに+の電圧がかかっているので、ゲート付近に行ったらP型半導体のホールはゲートから離れていきます。

P型半導体には多くのホールが存在しているのですが、電子も少しだけ存在しています。

この少数の電子は、+に引き寄せられて、絶縁膜の界面に集まってきます。

そうすると、ドレインとソースの間に、電子のルートができる事になり電気が流れることになります。

FETはトランジスタと同じように、中間にある半導体に電圧をかけることで、電気の流れを作っています。

ただし、FETの方が電圧をかけてから電気の流れができるまでのスピードが速かったり、電気のルートの抵抗値が低いなどのメリットがあります。

その為速いスイッチ速度や低い消費電力が求められるような事では、FETの方が好んで使われています。

まとめ

以上、最も基本となる6つの電子部品の原理と構造を詳しく解説してきました。

当サイトでは他にも、電子工作初心者が最低限身につけるべき知識やツールの解説など、電子工作を0から体系的に学べる動画や記事を用意しております。

ブレッドボードの基本的な使い方や注意点等も紹介していますので、是非そちらも合わせてご覧ください!